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講師コラム

部下の行動にムカッときたとき、怒りの感情のコントロール法

怒りの感情に対する考え方

 部下の行動にムカッときたとき、皆さんはどのように対応していますか?「怒りを露に厳しく指導する」「パワハラと思われるのが嫌なので、怒りを押さえ込み指導する」あるいは「何の反応もしない」などではないでしょうか。
 「怒り」はとても大切な心のサインであり、たとえ不快な感情だとしても悪いものということではありません。また、怒りという感情は自然発生的に湧き起こり、コントロールできないと思われている人が多いかと思いますが、アドラー心理学では、怒りは自分で作りだしているものなので、自分でコントロールできるものと考えます。怒りには相手役(怒りを向ける相手)と目的(怒った結果得たい成果)があることを認識することが、怒りをコントロールする第一歩です。パワハラと受け取られる恐れがあるので、怒りを抑制するのはストレスが溜まるだけでいいことではありません。まずは、自分の感情をしっかり受け止め、客観的に見、建設的に対応するトレーニングを続けることにより、徐々に怒りをコントロールできるようになります。

怒りの目的

 普段私たちが感じる怒りには、相手役と目的があります。怒りの目的は以下の4点です。根底には「~であるべき」「~しなければならない」という自分の信念があり、それを裏切られたときに怒りを感じます。

  • ① 支配 →親と子、上司と部下、先生と生徒などの関係において
  • ② 主導権争い→夫婦間、同僚間、友人間などの関係において
  • ③ 権利擁護 →領土問題、携帯をみられたくないなど
  • ④ 正義感発揮→割り込み、タバコの投げ捨てなど、上記①~③の目的が入りまじる

 怒りの相手役はたいてい他者になりますが、自分の場合もあります。この場合は自責の念となります。



「二次感情」としての怒り

 怒りの感情の根底には、「心配」「不安」「焦り」「落胆」「悲しみ」などの感情が潜んでいます。これらの感情を「一次感情」といいます。一次感情が満たされないときに、怒りという「二次感情」を使って対応することが多くなります。基本的に怒りは相手を傷つけたり、攻撃的にさせたりすることになり、非建設的な対応といえます。怒りをコントロールするときは、怒りの一次感情を知ることが大切です。

怒りの根底にある感情

例)ミスが多い部下に怒る → 一次感情:落胆、失望、心配
  遅刻をする同僚に怒る → 一次感情:不安、心配
  帰宅の遅い夫に妻が怒る → 一次感情:心配、寂しさ
「YOU(あなた)」メッセージに代わる「I(わたし)」メッセージで発信

 怒りをコントロールするための最後のステップは、一次感情を「I」メッセージで発信することです。「I」メッセージは、相手の行動とそれに対する自分自身の感情を伝える方法で、決して相手を攻撃したり非難したりしません。一方、「君はなんで私を怒らせるんだ」「君にはイライラする」「お前は最低だ」などのメッセージは、YOUメッセージといわれ、相手を批判したり判断したりすることになり、相手は身構えます。


例)仕事で同じミスを繰り返す部下に対して上司が、

「YOU」メッセージ

「何度言ったら解るんだ!また同じミスじゃないか!頭悪いんじゃないか!」

「I」メッセージ

「これは前回と同じミスだよね。これを繰り返すと君の将来に響くんじゃないかと心配なんだ。周りの人達にも迷惑が掛かっている。
仕事が終わったら必ずチェックしてみてはどうだ。そうしてくれると助かるんだけどな」

「I」メッセージは、基本的に下記の4点で構成されています。

  • 1)「これは…だよね(だったよね)」 :相手の行動
  • 2)「私は…と感じる(感じた)」 :相手の行動に対する私の感情
  • 3)「…という迷惑がかかっている」 :相手の行動の結末(影響)
  • 4)「…してくれるとうれしい(助かる)」 :改善策(相手に託す思い)

例1)書類の誤字脱字が多い部下に対して

「YOU」メッセージ

「まったく間違い多すぎるじゃないか!いったい何回言えばわかるんだ」

「I」メッセージ

1)これは前回も指摘した誤字脱字だよね

2)これを繰り返していると、君に仕事を頼むことに不安をおぼえる

3)私がこの書類を校正するのに多大な時間を要しているのは君も知っているよね

4)これからは書類を書いたら、ネットや辞書でチェックしてはどうだろうか?そうしてくれると助かるんだけどな

例2)お昼までに仕上げなければならない提案書を書いていると、同僚が話しかけてきて集中できない

「YOU」メッセージ

「あなたはいつも私が忙しいときに声をかけるよね!」

「I」メッセージ

1)今、お昼までに仕上げなければならない提案書を書いているんだ。

4)話はランチタイムにでもしないか?そうしてくれると助かるな

※この例では、「I」メッセージの2)・3)が不必要なのでカットしました。

例3)打ち合わせの時間に遅刻ばかりする後輩がいて困っている

「YOU」メッセージ

「いつも遅刻ばかりして、いい加減な奴だな」

「I」メッセージ

1)君は前回の打ち合わせのときも遅刻したよね

2)遅刻を繰り返す君を見ていて、私は悲しいよ

3)君が来なかったので、打ち合わせが始められず、メンバーにも迷惑がかかっている

4)これからはビジネスマンの鉄則である5分前行動を実践してはどうだろうか?そうしてくれると私も嬉しいし、他のメンバーも助かると思うんだけどな

「I]メッセージは、厳密に言うと「不安」「心配」「落胆」などの陰性感情を伝える場合、勇気づける方法というよりは、勇気をくじかない方法になります。しかし、相手に託す思いとして、最後に「喜び」「感謝」などの陽性感情で表現すると、勇気づけのメッセージとして使うことができます。

怒りをコントロールする3ステップ

最後にまとめとして、怒りをコントロールする3ステップを復習しましょう。

  • ① 自分の感情をしっかり受け止める
     →相手役と目的があることを認識する
  • ② 自分の感情を客観的に見る
     →怒りを感じたら6秒間黙る(頭の中では一次感情を推測する)
  • ③ 相手に建設的に対応する
     →「I」メッセージで発信する

どのような「怒り」であっても、抑えこんだり無視したりせず、受け入れることが重要です。その上で適切な自己表現あるいは建設的な行動ができると、怒りに振り回されるのではなく、怒りを味方にすることができます。怒りを部下に使わず、コントロールして適切に対応しましょう。



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コラム担当講師
宮本 秀明  (みやもと ひであき)

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